ディップコート法によるシリコン基板へのサブミクロンシリカ微粒子の堆積状態と制御
芝浦工業大学工学部電気工学科
原尾彰、稲井誠一郎、西川宏之
1.研究背景
シリカは化学的に安定しており、かつ優れた光学的性質を持っていることからフォトニクスにおける基幹材料である。とりわけ、粒径数百ナノメートルを持つサブミクロンシリカ微粒子はStöber法により粒径の揃った粒子作製が可能であり、自己組織化による周期的構造を形成することから、フォトニック結晶の作製などの応用例が挙げられる。サブミクロンシリカ微粒子の基板への配列構造形成法には、コロイド溶液の蒸発によるメニスカス法等が挙げられるが蒸発速度の制御等に留意する必要がある。今回は引き上げ速度の精密な制御が可能なディップコート法を用いて実験を行った。2.実験方法
テトラエトキシシランより、Stöber法で粒径500nmの単分散性シリカ微粒子を作製し、純水中に分散しコロイド水溶液を作製した。コロイド溶液は時間が経過するとともに沈殿が生じるのでそれを防ぐため、ヒーターで下を暖めながら冷却管でコロイド表面を冷却する装置を用いて対流を起こさせた。親水処理を施したシリコン基板を用いてディップコート装置(ナノディップコーターND-0407[株式会社SDI])により、速度を制御することで引き上げを行った。以下にその条件を示す。
3.結果および考察
堆積させた基板を走査電子顕微鏡(SEM)にて微粒子の配列状態の観察を行った(測定倍率;14000 倍、測定範囲 14μm×10μm)。以下に SEM像を以下に示す。図1(a)~(c)に示す基板の引き上げ速度依存性より引き上げ速度の低下に伴い、粒子の崩れおよび空乏が抑制された。その結果、(b)および(c)においてほぼ最密充填構造の配列を形成する配列となった。また、図2(a)~(d)に示すコロイド溶液の濃度依存性より、濃度が高いほどより密な配列が形成された。また、濃度5.0Wt%では多層構造を形成した。これはコロイド溶液内に存在する微粒子がより多いほど基板に対する粒子の供給度が高まるためである。

