平成 16 年 12 月 10 日
経過報告:ナノディッピング装置を使用したオパール膜の作製
京都大学大学院工学研究科
材料化学専攻 平尾研究室
下間靖彦
1. 背景
ナノオーダーの単分散微粒子を基板上に規則的に配列させたコロイド結晶は、フォトニック結晶として機能することから、近年精力的に研究されている。コロイド結晶の作製法としては、①スピンコート、②自然沈降、③電気泳動、④ディッピング、⑤毛細管現象を利用した方法、⑥流体力学的手法、など多岐にわたる [1-4]。今回は、株式会社 SDI から最小引上げ速度が 10 nm/sec のディッピング装置をお借りすることができたので、本装置を使用してオパール膜の試作を行った。2. 予備検討
株式会社SDIからお借りしたナノディッピング装置の性能を評価するため、THF溶媒に所定濃度のPMMA(分子量Mw ~ 120,000)を溶解した溶液を用い、ディッピングにより作製したPMMA薄膜の膜厚測定を行った。膜厚の測定は、ディッピングの方向に対して 4 箇所測定し(図 1 参照)、その平均値、標準偏差を求めた。用いた試料、実験条件及び膜厚測定結果は表 1 にまとめて示した。また、作製したPMMA薄膜のディッピング方向に対する膜厚をプロットしたグラフを図 2 に示した。膜厚が 1 µm以上のP5 とP7 は、ディッピング上部から約 1 mmで膜厚が厚いが、それより下の箇所は比較的均一であった。一方、膜厚が 1 µm以下のP1、P3 は、ディッピング方向に関わらず、比較的均一な膜厚であることから、今回使用したナノディッピング装置は、数百ナノオーダーの均一な膜厚を有する薄膜の作製に有効であると考える。


3. オパール膜の作製実験
Stöber らの方法[5]で作製した平均粒子径約 260 nm の単分散シリカ粒子を使用した。作製した単分散シリカ粒子を所定量秤量し、NaOH で pH を約 9 に調整した純水中に添加した後、超音波水槽中で 1 時間分散させた。用いた試料、実験条件は表 2 に、また作製したオパール膜の SEM 写真を表 3 にまとめて示した。


4. まとめ
今回使用したナノディッピング装置は、均一な薄膜の作製やオパール型フォトニック結晶の作製に有効であることが示せた。今後基板や粒子の材料などを検討し、オパール型フォトニック結晶の作製及び光学特性の評価を行ってゆきたい。参考文献
[1] K. Nagayama, et al., Langmuir, 12, 1303 (1996).
[2] D. J. Norris, et al., Nature, 414, 289 (2001).
[3] O. Sato, et al., J. Appl. Phys., 90, 2042 (2001).
[4] Y. Xia, et al., Adv. Matter., 12, 693 (2000).
[5] W. Stöber, et al., J. Colloid Interfuce Sci. 26, 62 (1968).