ディップコーターを用いた有機薄膜の作製について
広島大学
溶液法を用いた有機薄膜の作製には、スピンコート法、インクジェットプリンティングなど様々な手法が用いられているが、ディップコート法による報告例は非常に少ないのが現状である。今回、マイクロディップコーター(㈱SDI 社製)を使用して、有機薄膜の作製を検討したので報告する。
10 mm / secの速度でn+-Si / SiO2基板を、0.8 wt % (12 gL-1) に調製したC8-BTBTのクロロホルム溶液中に 入れ、そのまま 5 秒間浸した。その後、15~40 mm / secの速度で基板を引き上げたが、薄膜を作製することができなかった。試行錯誤の結果、10 mm / secの速度で溶液に入れて、5 秒間浸し、40 mm / secの速度で引き上げる一連の過程を 10 回程度繰り返すことで薄膜を作製することが可能であった。 ・ スピンコート法
ディップコート法で作製した薄膜との特性を比較するため、参照用としてスピンコート法により薄膜を作製した。用いた溶液は、ディップコート法と同じものであり、スピンコート条件は、4000 rpm, 30 sec である。
測定の結果、スピンコート膜は約 450Åの平坦な薄膜であったのに対し、ディップコート膜は明確な膜厚を測定することができなかった。薄膜表面を膜厚計で観測したところ、スピンコート膜は非常に平坦であったのに対し、ディップコート膜の表面は凹凸が非常に大きかった。これは、 C8-BTBTの結晶性が高いために、ディップコート膜では結晶化してしまったためと考えられる。今回用いた溶液は非常に高濃度のものであったために結晶化したと考えられ、今後、溶液の濃度を低くすることまたは掃引速度などの条件を最適化することでより良質な薄膜を作製することが可能であると推測される。
測定の結果、ディップコートおよびスピンコート法のどちらを用いた場合においても、同じ回折パターンを示した。このことから、薄膜の面外方向への分子配向に大きな差はないと考えられる。
FET 素子は以下のようなトップコンタクト型構造であり、 大気下、 室温、遮光下で測定を行った (Figure 4)。
測定結果を Figure 5,6、Table 2 に示す。

1. 薄膜作製
今回用いた材料は、当研究室で最もよく用いられているC8-BTBT (H.Ebata et al., J. Am. Soc. Chem. 2007, 129, 15732-15733) を用いた(Figure 1) 。 溶液を調製するにあたって、スピンコート法を用いたFET素子を作製する際の最適条件を参考にした。また、全ての薄膜は未処理のn+-Si / SiO2基板上に作製した。 ・ ディップコート法10 mm / secの速度でn+-Si / SiO2基板を、0.8 wt % (12 gL-1) に調製したC8-BTBTのクロロホルム溶液中に 入れ、そのまま 5 秒間浸した。その後、15~40 mm / secの速度で基板を引き上げたが、薄膜を作製することができなかった。試行錯誤の結果、10 mm / secの速度で溶液に入れて、5 秒間浸し、40 mm / secの速度で引き上げる一連の過程を 10 回程度繰り返すことで薄膜を作製することが可能であった。 ・ スピンコート法
ディップコート法で作製した薄膜との特性を比較するため、参照用としてスピンコート法により薄膜を作製した。用いた溶液は、ディップコート法と同じものであり、スピンコート条件は、4000 rpm, 30 sec である。
2.膜厚測定および表面形状について
触針式膜厚計を用いて作製した薄膜の膜厚および表面形状の調査を行った。その結果を以下に示す(Figure 2)。
(左:ディップコート膜、右:スピンコート膜)
測定の結果、スピンコート膜は約 450Åの平坦な薄膜であったのに対し、ディップコート膜は明確な膜厚を測定することができなかった。薄膜表面を膜厚計で観測したところ、スピンコート膜は非常に平坦であったのに対し、ディップコート膜の表面は凹凸が非常に大きかった。これは、 C8-BTBTの結晶性が高いために、ディップコート膜では結晶化してしまったためと考えられる。今回用いた溶液は非常に高濃度のものであったために結晶化したと考えられ、今後、溶液の濃度を低くすることまたは掃引速度などの条件を最適化することでより良質な薄膜を作製することが可能であると推測される。
3.X 線回折測定 (XRD 測定)
作製した薄膜の XRD 測定を行った。その結果を Figure 3、Table 1 に示す。
4.FET 測定
最後に、薄膜にシャドーマスクを通して金を蒸着することで、FET 素子を作製し、その特性を評価した。FET 素子は以下のようなトップコンタクト型構造であり、 大気下、 室温、遮光下で測定を行った (Figure 4)。
測定結果を Figure 5,6、Table 2 に示す。
(左:トランスファー特性 (V d = -60 V)、中:ヒステリシス特性 (V d = -60 V)、右:アウトプット特性)
(左:トランスファー特性 (V d = -60 V)、中:ヒステリシス特性 (V d = -60 V)、右:アウトプット特性)