TECH COLUMN

【技術コラム】なぜ今、「ディップコート」なのか?

スピン・スプレー工法との決定的な違いと3つのメリット

薄膜形成や表面処理のプロセスにおいて、「どの塗布方式を採用するか」は製品の品質とコストを左右する最初にして最大の分岐点です。

スピンコート、スプレーコート、ロールコートなど様々な手法がある中で、なぜ今、古くからある「ディップコーティング(浸漬塗布)」が、最先端の光学部品や医療機器、自動車部材の製造現場で再評価されているのでしょうか?

本記事では、他の主要な塗布方式と比較しながら、ディップコーティングが選ばれる技術的な理由と、導入のメリットを解説します。

1. 圧倒的な「材料利用効率」:高価な塗料を捨てていませんか?

ディップコーティング最大の特徴は、「材料ロス(廃棄)が極めて少ない」点にあります。

【SDIの視点】 SDIでは、タンクの設計形状をワークに合わせて最適化することで、必要な初期充填量(デッドボリューム)を最小限に抑える提案も行っています。「1g数万円」といった高価な試薬を使うR&D現場で、この差は歴然です。

2. 「異形・複雑形状」への対応力:平らな板以外も塗れる

製品のデザインが高度化・複雑化する現代において、「平面」しか塗れない工法は選択肢から外れつつあります。

【SDIの視点】 複雑形状の場合、引き上げ時の「液溜まり」や「液ダレ」が課題になりますが、SDIの装置は多段階の変速制御(0.1mm/sec単位)や、ワークの角度を変える多軸ロボット制御により、異形ワークでも均一な成膜を実現します。

3. 「両面同時成膜」による生産性向上

製造工程のタクトタイム短縮において、ディップコートは大きな武器になります。

比較まとめ:各工法の得意・不得意

項目 ディップコート スピンコート スプレーコート
材料利用効率 ◎ (高い) × (低い・9割廃棄) △ (飛散ロスあり)
対象形状 ◎ (複雑・立体・管) × (平面のみ) ◯ (立体可・影不可)
膜厚均一性 ◯ (制御に依存) ◎ (極めて高い) △ (ムラになりやすい)
両面同時塗布 ◎ (可能) × (不可) × (不可)
設備コスト ◯ (比較的安価) ◯ (安価) △ (排気設備が高額)

結論:ディップコートの「弱点」を克服したSDIの技術

一般的にディップコートは「膜厚のコントロールが難しい(上部が薄く、下部が厚くなる)」と言われることがあります。しかし、それは過去の話です。

株式会社SDIのディップコーターは、ナノレベルの超低速引き上げ制御と無振動機構により、スピンコートに迫る高精度な膜厚制御を実現しています。「材料を無駄にしたくない」「複雑な形に機能を持たせたい」──その課題、SDIの技術が解決します。